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富田靖子出演の映画「南京の基督」が今では考えられないほど鮮烈な問題作

富田靖子

女優の富田靖子さんを知っていますか?

バラエティー番組ではあまり見かけない方なので、名前だけだとすぐにはピンと来ない人もいるかもしれません。

でもそんな人も、お顔を見ればきっと分かります。

数々のドラマや映画への出演実績がある、1度は必ず見たことがある、演技派の女優さんです。

そんな富田靖子さんが20代の頃に出演した「南京の基督」という映画が、かなり鮮烈な問題作なのだとか。

一体何が鮮烈なのか、そもそもどんな作品なのか。

詳しく調べてみたいと思います。

目次

芥川龍之介の小説が原作の日本香港合作映画

富田靖子

「南京の基督」は、芥川龍之介による同名の短編小説を原作とし、彼の遺稿でもある「歯車」という作品の要素も加えオリジナルのストーリーで作られた映画です。

アミューズと香港のゴールデン・ハーベストが提携し、1995年に制作されました。

富田靖子さんは、主人公の中国人娼婦、宋金花を演じています。

南京を舞台としたこの話は、宋金花と日本人作家の岡川が出会い、恋に落ちます。

しかし宋金花は、客に梅毒を感染されてしまうのです。

貧乏で医者に行く金はなく、「他人に感染せば治る」と聞いても、優しい彼女はそんなことはできないと拒み………再び岡川が訪れた頃には、彼女は手遅れになっていました。

岡川の腕の中で息を引き取る宋金花。

そして岡川もまた、日本に帰国後、自ら命を絶つのでした。

原作では、宋金花の病気は治りますし、相手の男も自殺しません。

原作と比べると暗くて重苦しいストーリー展開ですが、この作品で富田靖子さんは第8回東京国際映画祭最優秀女優賞を受賞し、女優としての確かなキャリアとなりました。

なお映画においては、日本人の富田さんが中国人の役を演じているだけでなく、日本人作家の岡川役を香港の俳優レオン・カーフェイさんが演じています。

今の映画ではなかなか無さそうな配役の仕方ですね。

また、岡川のモデルは、原作者の芥川龍之介本人です。

「歯車」は彼の自殺直前の心象風景を描いた作品なので、その要素を加えた映画が重苦しいストーリーになってしまったのは、ある意味仕方ないのでしょう。

富田靖子が全編広東語で熱演、まさかのヌードも

富田靖子 レオン・カーフェイ

この映画は香港との合作、尚且つ中国人役ということで、富田靖子さんは全編広東語での演技に挑戦しました。

広東語は香港の公用語ですが、実は世界一難しい言語とまで言われるほど、学ぶ難易度の高い言葉です。

あくまでも日常会話ではなくセリフだとは言え、難しいことは間違いありません。

満足な教材があったとも思えませんし、さぞ苦労したことと思います。

調べたところ「アテレコだ」という情報も出てきましたが、仮にアテレコだったからと言って難易度が低くなるものでもないので、やはりその努力には頭が下がります。

この2年後に富田さんは、別の日本・香港合同で制作された映画にも出演しています。

「南京の基督」における広東語や彼女の努力が評価されたが故のオファー、ということなのかもしれません。

さらにこの映画で話題になったのは、富田さんのヌード。

娼婦という役柄であるため、大胆なヘアヌードを披露し、濡れ場も演じています。

ですが作品を観た人からは、「美しい」との感想が多く見られるのです。

観た人にそんな感想を抱かせるのは、宋金花の純粋で心優しい性格と、彼女を演じた富田さんの素晴らしい演技力故、なのでしょうか。

ともあれ、このヌード披露で富田さんの評価が高まったことは、確かなようです。

若き富田靖子の女優魂が垣間見れる作品

富田靖子

全編広東語での演技やヌード以外にも、「南京の基督」での富田靖子さんは、非常に高い評価を受けています。

人を一途に愛する独特の無邪気な目。

病に蝕まれ斑点の広がる体を抱えながら「彼に会いたい」「でも彼にこんな醜い姿を見せたくない」と相反する2つの想いに苦しむ悲痛さ。

敬虔なキリスト教徒として真摯に信じてきた神が全く己を助けてくれなくても、明るい未来を信じ続けるひたむきさ。

そして強く信じるが故に、狂気でだんだんと壊れていく様子。

優しく純粋で、まっすぐで、可愛らしい、哀れな宋金花という役。

決して単純なキャラクターではありません。

それを演じ切った富田さんの演技力こそが、視聴した人からは何よりも称賛されています。

彼女の演技がこの映画の重苦しさ、悲痛さ、美しさを作ったと言っても過言ではないのです。

当時、20代後半の富田靖子さん。

彼女がまさに体当たりで表現したこの映画は、富田さんの、現在の演技派女優の片鱗が感じられる作品となっています。

まとめ

今回は、富田靖子さんが20代の頃に出演した、日本香港合作映画「南京の基督」の内容について調べてみました。

この作品が問題作だと言われる理由としては、現在は清純なイメージの強い富田さんのヌードがあることや、ストーリーが誰も幸せにならない展開だったことが考えられます。

しかし観た人たちの感想を調べてみると、ストーリーに対しては様々な意見がある一方で、富田さんへの批判は見当たりません。

いまや日本を代表する女優の1人となった富田さんの、卓越した凄まじい演技が見られる作品だということが、よく分かります。

「南京の基督」は20年以上前の映画ですが、中古であればAmazonなどの通販サイトでDVDを手に入れることが可能です。

また、芥川龍之介による原作小説も、電子書籍であれば読むことができます。

富田靖子さんの若き日の出演作を観てみたい人や、ストーリー自体に興味がある人は、ぜひ1度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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